砂浜を泳ぐエイ。
何の変哲のないショットだが、この写真は33年前のもの。エイはヒラタエイという種類だと思う。潜水(≒SCUBAのこと。当時はこう呼んだ<笑>)を始めてまもなく、千葉の天津小湊で撮った。機材は、ニコノスⅡ型+U/W 28mm。名玉U/W 15mmがリリースされたのはその2年後だったと記憶している。
水中で使えるストロボはまだなかったので、光源はフラッシュ。純正のフラッシュガンを使い、1枚撮るたびにフラッシュバルブを交換しながらの撮影。グリップの部分にネオプレーンで作った手製ホルダーを装着、30個くらいフラッシュバルブを差し込んで持ち込み、使い終わったバルブ球をまたそこに差し込んで陸に持って帰った。
シャッターを切るとシュバッと発光し、水との温度差でバルブに亀裂ができて海水が滲み込みジュジュジュッと音をたてる・・・撮影効率は悪かったが、ほとんどトラブルもなく海中で写真が撮れた。自ら"全天候カメラ"を標榜し、そのままダイビングで使えるニコノスはスゴイと思った。
学生だった自分には、ダイビングと水中写真のダブルパンチの経済的な負担は少さくなかった。その分はギャラのいい水中でバイトしてカバーした。なかなか思ったような写真は撮れなかった。距離設定が水中での目測ということもあるが、とにかく被写体にカメラを向け、やみくもにシャッターを切っていただけだった・・・と今にして思う(笑)
フィルムはエクタクロームだ。ドキュメンタリータッチが好きなので、根っからのコダクローム派なのだが、当時はまだ一般的ではなかった。内式乳剤なので、経年変化、褪色が目に付く。おまけに管理が悪いので派手にカビている・・・・・
その後、潜ることを手段とした研究者を目指したが挫折し、潜れる仕事を選んだ。ニコノスはいつも身近なところにあった。そんな事情もあってニコノスには人一倍思い入れが強い。この写真を撮ったⅡ型のニコノスは15mmレンズとともに友人の手に渡り、シーカヤックでの冒険を記録し続けているのだが、手元にはオリーブドラブのⅤ型がある。釣りなどの写真はもっぱらこれを使っているが、現在、例に漏れずデジカメに移行中である。
機材にはそれほどコダワル方ではない。そこそこ写ればいいや、くらいの感じであるが、10年ほどブランクがあって、ひょんなことから手にしたデジタルカメラは思いもかけぬ"迷路"だった。操作性が良くなかったからである。思った時に写せない、撮りたい瞬間に撮れないというのはさすがにつらい。
試行錯誤しながらコンパクトタイプを何台か買い替え、デジタル一眼レフに落ち着いた。だが撮影スタイルとしては、コンパクトかつヘビーデューティなものがいいので、コンパクトタイプはまだまだ試行錯誤がしばらくは続くだろう・・・・・
デジタルカメラが隆盛を極めつつある昨今、アナログでアナクロな写真を見るのも一興かな・・・ということで、つたない写真を公開してみることにした(笑)
#写真は、ヒラタエイ。砂浜に隠れていたのだが、突然目の前に飛び出して泳ぎ始めた
/ May, 1971 ; Nikonos+28mm