どうしても行ってみたいと強く念じ続けて、なぜかそこに行くことができたという経験がある。
まさに"念力"がなせる業。テレキネシスで、時間と空間に働きかけて願望を実現する・・・もちろん、そんなSFまがいの大げさな話ではないのだが、ともかく念じ続けていたら、スコットランドのセントアンドリュースに行けた。
セントアンドリュースという地名は、シリアスなゴルファーにとっては魔法の言葉。紛れもなくゴルフというスポーツの聖地、発祥の地なのだから。正確にいうならゴルフ自体、そのプレイの発祥は実はオランダらしいのだが、スコットランドの海岸沿いの地形「リンクス」で現在のゴルフのスタイルが形成され、完成したことに異論を唱える者はいない。
かくして、最古のゴルフコースと謳われるセントアンドリューズ「オールドコース」は、ゴルフの原点の地として、ゴルフ愛好家の崇拝を集める。オールドコースの魅力は、あたかもフェロモンのようでもある。すべてを投げ打って、魂を売り渡してでも巡礼したいと感じさせる甘美な誘惑・・・その想いは万国共通で、世界中から思い入れのあるゴルファーが集まってくるのである。
この名だたるコース、チャンピオンコース的な難しさで挑むものを退けるのかというと、そうではない。ポットバンカーやヒースのブッシュ、アンジュレーションが激しくフェアウェイとボーダレスなとてつもなく広いグリーンなど、見慣れないという感覚はあるのだが、ティーグラウンドも複数あってレベルに応じたティーが選べるし、ミスはミスでワンペナだと心得て普段のゴルフに徹すれば、とりたて異質な感じはない。
その憧れのコースを2ラウンドしたが、奇しくもスコアは二度とも19オーバー。全英オープンで選手につくという年老いたキャディーの指示に従いつつ、プレイの展開は思いの他スムーズなものだった。で、残りホールが少なくなり、上がりのスコアを計算し始めると大叩きにハマった(笑) 自分のゴルフをもっと磨きなさい・・・と諭されている気分。どこでプレイしてもゴルフはゴルフなのだと骨の髄まで思い知らされたのであった。
#写真は、オールドコースの練習グリーン。グリーンのうねり(アンジュレーション)に注目。夕方になると地元の子供たちが遊んでいる / June, 1993 ; CONTAX T2